説得力のある画像にも、それがAIによって作られたことを示す目に見えない手がかりが残っている可能性がある。
Googleは10月7日、SynthID Detectorのウェブサイトを英語で世界中から利用できるようにしたと発表した。これにより、対応するAIウォーターマークが画像、動画、音声に含まれているかを確認できる。これまではジャーナリスト、メディア関係者、研究者から利用が始まっていた。
疑わしいメディアを調査したり、AIで生成したマーケティング素材を確認したりする企業にとって、このサイトは検証の新たな手段となる。ウォーターマークはAIが関与したことを示せるが、コンテンツの主張が真実かどうかを証明するものではない。
SynthIDのウォーターマーク検証の仕組み
訪問者はSynthID Detectorにファイルをアップロードできる。Google DeepMindによると、ウォーターマークは画像や動画では目に見えず、録音では聞こえないため、メディア本来の見た目や音声は保たれる。Googleが2025年に発表したDetectorの説明では、ウォーターマークが含まれている可能性が最も高い画像の領域や音声の区間をハイライト表示するとしていた。
Googleによると、画像のウォーターマークはトリミングや圧縮など一般的な編集を経ても残る可能性がある。音声のウォーターマークも、MP3圧縮や再生速度の変更後に検出できる場合がある。画像のうち、 Nano Banana 2で作成されたものには、他のコンテンツ来歴情報とともにSynthIDが付加される。
検出は実際の事例でも役立っている。7月には、ファクトチェッカーが ミッチ・マコネル上院議員の捏造された病院写真に埋め込まれたウォーターマークを見つけ、その正体を特定した。ただし、陽性判定が出ても、描かれた主張が真実かどうかを証明することはできない。スキャンに失敗した場合も、録音や画像が本物だと証明されたことにはならない。他のAIシステムが対応するウォーターマークを残さない可能性があるためだ。
検証システムに加わるAIプロバイダーが増加
Googleは検証範囲を拡大し、参加するAI企業が提供する対応メディアも対象にした。名を連ねるパートナーにはOpenAI、Nvidia、韓国のKakaoなどがあり、Appleも加わる見込みだ。共通のDetectorにより、異なるプロバイダーの対応コンテンツを1カ所で確認できる。ただし、互換性がすべての製品や生成物に及ぶわけではない。
SynthIDが2023年に登場して以来、導入は大幅に拡大した。同社によると、ウォーターマークを付けた画像と動画は1800億点を超え、音声では24万年分に相当する。同社の技術は、Veoの動画生成ツールからLyriaのAI音楽機能まで、幅広い製品に採用されている。
独立したサイトが一般公開される前から、既存のGoogle製品を通じて検証を利用できた。Googleによると、Search、Geminiアプリ、Chromeに搭載された検証機能は現在、1日当たり100万件を超えるリクエストを定常的に処理している。
eWeekの調査結果:テキスト検証は非公開のままにできる
Googleが公開したDetectorの発表と、 SynthID Textの開発者向けドキュメントを比較すると、重要な違いが分かる。一般公開の対象は画像、動画、音声である一方、SynthID Textを別途導入する組織は、テキストDetectorへのアクセスを管理できる。
GoogleはSynthID Textの検証へのアクセスを管理する方法を3つ提供している。
- 完全非公開の検出。組織がDetectorを内部に限定し、外部の人がウォーターマークを独自に確認できないようにする。
- 半非公開の検出。API経由で検証を利用できるが、アクセスは組織が管理する。
- 公開検出。組織がDetectorを他者向けに公開し、各自でダウンロードして利用できるようにする。
SynthID Textは、文章のパターンを分析する従来のAI文章検出器とは異なり、生成時に埋め込まれたウォーターマークを検査する。Googleの2025年の最初のDetector発表ではテキスト検証についても説明されていたが、新たに公開されたウェブサイトが案内している検査対象は画像、動画、音声だけだ。公式ドキュメントはテキスト向けに非公開の検出オプションがあることを確認しているものの、他のメディア形式にも同様の制限があるとは示していない。
したがって、文書にはSynthID Textのウォーターマークが付いていても、受け取った側が対応するDetectorを利用できない場合がある。利用できる場合でも、検出は確率的なものであり、大幅な書き換えや翻訳によって結果の確信度が低下する可能性がある。AIを使って顧客向けの連絡文や規制対象の報告書を作成する企業を考えてみよう。後になって顧客や監査人が文書の出所に異議を唱えた場合、検証結果を提示するには、その企業に頼らざるを得ない可能性がある。
SynthID Textを導入する組織は、外部関係者がAPIや一般公開されたDetectorを通じて自社の文書を確認できるようにするかどうかを、あらかじめ決めておくべきだ。原本ファイルや編集履歴を保存しておくことも、後に疑問が生じた際、AI利用の開示内容を裏付ける助けになる。
AI関連の最新ニュース:Mistralの最新フラッグシップモデルは、100万トークンのコンテキストウィンドウとより高価なAPIで、より大規模なワークロードを対象とする。